※こちらの記事は旧サイトのものです。
スギの枝葉・クマザサの茎葉を加熱蒸気で亜臨界に加熱して急冷する事により抽出いたしており、ダイオキシンのベンツペレン等が含まれておらず、取り扱いがかんたんです。
1.はじめに
(1)スギの葉の成分を水蒸気蒸留によって取り出す
(2)上記(1)で取り出したものに、黒カビを与え、その効果を調べる
以上の2過程により、実験を行うことに決定した。
2.仮説
第一に、エッセンシャルオイルは水蒸気蒸留によって取り出せる成分が挙げられる第二に、クマザサの葉を1枚だけ寿司全体の腐敗の抑制を狙っていたことから、抑制効果を及ぼす成分は、常温で周囲に広がっていく性質があると予想できる。
以上の二点により、 「スギの葉に含まれる蒸発しやすい成分に、抗菌作用や腐敗防止の効果があるのではないか」 という仮説を立てた。この説を検証するために、次の実験を試みた。
3.実 験
(1)準備
器具等 | 水蒸気蒸留装置 スタンド・丸底フラスコ(500ml)・三脚・金網・ゴム栓・ガラス管・ゴム管・ナス型フラスコ・マントルヒーター・リービッヒ管・三角フラスコ(300ml) |
サンプル管・薬さじ・ ミクロスパーテル・クロマトグラフ管・脱脂綿・展開槽・TLCアルミニュームシート(MERK社シリカゲル60F254)・シャーレ・ビニールテープ・エアポンプ・紫外線照射器 | |
薬品等 | スギの葉・ヘキサン・酢酸エチル・黒カビ&検出用寒天培地【(株)京都科学カビのでんぷん分解実験キット】・シリカゲル |
2)実験方法
- :スギ葉の採取と乾燥
- スギ葉を約2kgを採取する
- 室内で約1週間ほど風乾する
- :水蒸気蒸留
- ナス型フラスコに約70gの風乾したスギ葉を入れる。
- 約2週間、留出物200cm3になるまで水蒸気蒸留を行う。
- 留出物にヘキサン10cm3を加え、留出物を抽出する。
- ヘキサン層をサンプル管に移し、24時間放置する。 ヘキサンが蒸発した後に残った蒸留物を観察する。
- :蒸留成分の分離
- 1.外径18mmのクロマトカラムに脱脂綿をつめた後、シリカゲル10cmほどつめて、フラッシュクロマトグラフィーを行う。 展開溶媒は、酢酸エチル/ヘキサン=1/14の割合で作る。5cm3×20本のサンプル管に分けた。 流速3.3cm3/ min(エアポンプ使用)
- 20×10cmのTLCアルミニウムシートに分離した成分を塗布する。
- 展開槽に1.で使用した展開溶媒を入れ、薄槽クロマトグラフィーを行う。
- 紫外線照射器を使用し、Rf値を確認する。
- 黒カビに対する成分の影響
- 内部エタノールで消毒したドラフトチャンバー内で黒カビの移植を行う。
- 分離した成分をミクロスパーテルの「背」につけて、シャーレ内の培地全体に塗布する。
- 培地の中心部に3mm四方の種カビを移植する。
- シャーレをビニールテープで密封し、1週間室温のまま放置する。
4.結果
(1)水蒸気蒸留による成分抽出
風乾したスギ葉770gを11回に分けて水蒸気蒸留した結果、1.255gの淡黄色で甘酸っぱい香りのする液体が採取できた。
(2)フラッシュクロマトグラフィーによる成分の分離
0.925gの抽出成分をフラッシュクロマトグラフィーによって分離した。内径約1.5cmのクロマトカラムにシリカゲルを10cm詰めた。展開溶媒は、酢酸エチル/ヘキサン=1/14で5cm3を分取した。流速はエアーポンプを使用し、3.3cm3/minで行った。結果は、図4-2になった。また、fra.1~fra.5については、表4-2のようになった。
図4-2 フラッシュクロマトグラフィー展開図
表4-2 fra.1~fra.5について
fra.1 |
fra.1 |
fra.1 |
fra.1 |
fra.1 |
|
Rf値 |
0.95 |
0.78 |
0.5 |
0.33 |
0.22 |
重さ(g) |
0.377 |
0.033 |
0.013 |
0.028 |
0.299 |
(3)黒カビの生育
蒸留成分を与えないシャーレをcontrolとし、分離しない成分を与えたシャーレをoriginal、各成分を与えたシャーレをfra.1~fra.5としてcontrol以外の7つずつ黒カビの生育を調べその結果について、考察としてまとめる。
5.考察
スギの葉成分の黒カビ抑制効果の評価については、以下の方法を用いた。
(1)広がり方の評価
controlを基準として、黒カビが繁殖した部分の広さを円に換算してその直径で判断した。判断は部員数名で合議の上行った。
1:シャーレ全体 |
controlを基準として、黒カビが繁殖した部分の濃さ(密度)で判断した。判断は部員数名で合議の上行った。 1:controlと同じ濃さ(密度) ・・・・・ 0 2:controlよりやや薄い ・・・・・ -1 3:極めて薄い、またはほとんどない ・・・・・ -2 |
|
以上の2つの評価を合計して、各成分のデータのうち最大値と最小値を除外した.残り5つのデータの平均値を求め、その値で評価した。それを次表に示した。
表5-1 広がり方の評価
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |
ori | 0 | 0 | -1 | 0 | -1 | -1 | -1 |
fra.1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
fra.2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
fra.3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
fra.4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
fra.5 | -2 | -1 | -2 | -2 | -2 | 0 | 0 |
表5-2 濃さ(密度)の評価
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |
ori | 0 | 0 | -1 | 0 | -1 | -1 | -1 |
fra.1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
fra.2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
fra.3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
fra.4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
fra.5 | -2 | -1 | -2 | -2 | -2 | 0 | 0 |
表5-3 総合評価
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 | mean | |
ori | -1* | -1 | -2* | -1 | -2 | -2 | -2 | -1 | -1.6 |
fra.1 | -1* | -1 | -1 | -1 | -1 | -1 | -2* | 0 | -1.0 |
fra.2 | -1* | -1* | -1 | -1 | -1 | -1 | -1 | 0 | -1.0 |
fra.3 | -1* | -1 | -1 | -2* | -2 | -1 | -1 | 0 | -1.2 |
fra.4 | 0* | 0 | 0 | -1* | -1 | -1 | 0 | 0 | -0.4 |
fra.5 | -3* | -2 | -3 | -2 | -3 | -1* | -1 | 0 | -2.2 |
前ページの評価から得られた知見は次の通りである。
- 全ての成分において抑制効果が見られた。
- ori.はfra.1~fra.5が混同されているので各成分の平均的な値を示した。
- fra.1~fra.3はほぼ同様の抑制効果が見られた。
- fra.4は他の成分と比べると、抑制効果が少ない。
ということが分かった。蒸発しにくい極性の大きな成分に抑制効果が大きい フラッシュクロマトグラフィーで使った展開溶媒は、酢酸エチル/ヘキサン=1/14という極性の小さいものなので、極性の大きい成分ほどRf値が小さくなるはずである。Rf値の比較的小さいfra.4は抑制効果が他と比べて小さいもののRf値が最も小さいfra.5が大きな抑制効果を示したという事は、極性の大きな成分に抑制効果が大きいといえる 蒸発しやすい成分に抑制効果があるという仮説で研究を進めてきたが、むしろ
これらの知見から次のことが考えられる。
fra.5は、各成分の中で、最も大きい抑制効果を示し、他を大きく引き離している。
おわりに
今回の研究では、「蒸発しやすい成分の中に黒カビの抑制効果を持つ物質が存在する」という仮説とは逆に「蒸発しにくい成分の中にその物質は存在する」という結果を得たが、これによって我々の探している成分の存在場所が判明した。次は、極性の強い成分を取り出すために、スギの葉を有機溶媒で抽出し、成分を分離しようと思う。
<参考文献>
矢田貝 光克 他1名 木材学会誌 29274(1983)
加藤 定信 他3名 木材学会誌 39322(1993)
山本 宏 他4名 茨城大学教育学部紀要(自然科学) 39322(1993)
使用方法
土壌改良 | 50倍~100倍希釈液で 植付けは散布後1週間は置いてください。 |
葉面散布 | 10倍~50倍希釈液で散布 |
消臭 | 50倍~100倍希釈液で 臭いの強弱に合わせて倍率を変えて下さい。 |
鮮魚保存 | 50倍希釈液でボイルすると 柔らかくなり長期保存出来ます。 |
切花 | 500倍~800倍希釈液入れると綺麗に長持ちします。 |
入浴 | 100cc入れますと体が温まり肌の弱い人におすすめします、 又そのお湯で洗髪するとリンスの代わりに成ります。 |
水虫 | 原液でお使いください。 |