無添加てんてん(千葉県・埴生ひかるさん)

「かゆい」

顔がかゆい。

また、赤くなるまでかいてしまった。とくに頬だ。

私は刺激が強い化粧品には、かぶれてしまうのだ。

肌に優しいものを、とは思っているけれど。

夏場の日差しの強いときやマスクでこすれても取れない日焼け止め、と考えると、ついカバー力が強いものに手が出てしまう。

 私は大急ぎで家に帰り、顔を洗う。

ひりひりして、少し痛い。ああ、この化粧品も、刺激が強かったか、とあきらめのため息が出る。

家にずっといるのであれば、マスクをしないでいるのであれば、無添加の化粧品だけでいんだけど。

ただ、そういうわけにはいかない。暮らしていかなければならないから。

そういうわけで、無添加と、そうでないものと、折々の中で選びながら、過ごしている毎日なのだ。

 夏は、特にだめだ。皮膚が弱っている。

時計のバンドにもかぶれるし、あせももひどい。

 秋になると、少し肌は落ちついてくる。日焼け止めもそんなに必要じゃなくなる。そこで今度は、乾燥が襲ってくる。

女の肌は、どうしてこう、なにかしてやらないといけないんだろう。男を見よ。オイリーと言えばオイリーだが、乾燥はそうそうしないだろう。

 そうは嘆いても、手入れは必要だ。私は無添加の、ドラッグショップで買った化粧水をつける。乾燥が気になるときは台所のオリーブオイルやココナツオイルを手のひらの熱で溶かした上で、顔に塗る。

香りがいい。すう~っと、鼻一杯に植物の生命を味わう。これで秋の肌の手入れは終わり。

 冬になる。寒さと乾燥で、顔が赤くなってくる。手も荒れるが、唇も荒れる。ハンドクリームでおいつかない、がさがさした手で頬をさわると、痛い。しょうがなくこすらないように、押し付けるように化粧水をつける。

 荒れた唇には、ワセリンを塗る。

はちみつとかがいいんだろうけど、常備していないときのほうが多い。ワセリンは無味無臭で、安い。髪の毛をセッティングするときにも使える、便利品だ。

 こんな風に、無添加とそうじゃないものを折々手を変え品を変え、使わせて頂いている。