無添加と姉(千葉県・東さん)

私は、昭和二十八年の生まれで、どこにでもいる平凡な男である。私には、一人、才媛で気の強い昭和二十三年生まれの姉がいる。背は、小さいが級長を務めたりして目立つ存在だった。小さい頃から、姉の嫌味や、嫌がらせで嫌な思いをさせられた。今は、それが懐かしい。彼女は、男勝りではあったが、大変な潔癖症で、意外と気が小さくて、小さい時から、添加物の有害性を訴え続けていた。どこで調べたのか、やれ保存料、発色剤、着色料、酸化防止剤等の言葉を並び立ててその危険性を私に説いて聞かせた。携帯電話が出始めた頃は、その電波が脳内を通るから脳を悪くするとかも言っていた。又、ほとんどの薬では病気を治せないとも言っていた。

私が、風邪をひいた時も風邪はウイルスが起こすものでこれらのウイルスを殺すのは自然治癒力を形成する免疫細胞だと……私の知らない言葉を連発していた。

私も、自然知らぬ間に、姉の影響を強く引き継いでいた。故に、食べ物や衛生面に関しては最新の注意を払っている。添加物に関してはもちろんであるが、コロナウイルスが世間を騒がしている時も、客観的にそれを観て、飛沫感染であるから、日本のような人との接触の少ない国ではマスクをすることに疑問を抱いていた。

姉は、言う。

「副作用のない薬などないわ。添加物は身体にとって異物なのよ。私たちの身体は自然界から生まれたものだけど、ほとんどの添加物は、科学的に作られた合成品だわ。添加物には、石油から合成されていることを知ってるかしら?」

私は、唖然となって、姉の話を聞き続けた。さらに、姉は言った。

「添加物は、石油から作られていることを知ってるかしら? 添加物はプラスチックと同じ素材から作られてるのよ。化学物質である添加物はプラスチックと同じように自然界にはないものなのよ」

後になって、私も知るようになった。添加物は、土に埋めても、土にかえることはない。一方、我々の体は、自然のものでありその自然の産物である身体が、化学物質を取り入れ、なじませることは難しく、薬が身体にとって毒ともなり副作用を起こしやすいのは添加物のせいであることを。重要なことは、添加物から受ける害を気にすることなく『体の声』を聞くことであることを。そして痛みや、ダルさ疲れなどの不快な症状は身体から送られてくるSOSのサインであることを。サインを感知したら、症状を抑える前に身体のためにできることをやるべきであることを私は、知るようになった。