私が無添加のものを選んでいるのは、シャンプーである。私は、もともと他の人よりも髪が厚く、少々脂性ぎみであった。私が子どもだったためか、シャンプーで上手に頭皮を洗うことができず、常にべったりとした髪であったように記憶している。
また、私の髪は常に結っていないと、視界のじゃまになった。子どもの頃から、ずっと母親に髪の毛を切ってもらっている私は、美容院で髪をすいてもらうことも、なかったからである。
そんな私の髪が薄くなり始めたのは、二十代後半になってからだった。子どもの頃から、厚い髪があまり好きではなかった私は、髪の毛が抜け始めても、最初あまり驚かなかった。
「まあ、子どもの時からずっと結っていたので、私の髪も抜けやすくなったのだろう」
そんなふうに、私は考えていたのである。けれど、抜け毛はまってはくれない。段々と、髪のすきまから頭皮が見えるようになって、私はやっと焦り始めた。
その頃、外出先で会う知人からも、
「あなた、髪が薄くなったんじゃない」
と、言われることが続いた。もともと、その女性とは仲が良いわけではなく、私のことを落ち込ませようとして言っていたのは、わかっていた。わかっていたけれど、私は彼女の言葉に、深く傷ついていたのだった。
「このまま、。薄毛をほうっておくことは、できない」
そう考えた私は、本屋から髪に関する本を購入して、読むことになる。具体的には、二冊の本を買った私は、その本を隅から隅まで読んで勉強した。
その本は、一冊は男性でも女性でも役に立つ本。もう一冊は、女性専用に髪の薄毛について解説してあった。私は女性であるし、女性用の本を信じたい気持ちもわずかにあったのだが、結局男性でも女性でも役に立つ本を、活用することになるのである。
本の内容を簡単に説明すると、現代人は髪の洗いすぎなのだそうだ。シャンプーに含まれる成分によって、頭皮に必要なものまで洗い流してしまい、薄毛になる人も出てくる。
私も、自分のシャンプーの使い方を、よく考えてみた。すると、私はシャンプーでいつも丁寧に髪を洗っており、その行為自体が薄毛を招いていたと、思い到ったのである。
その本には、十日に一回しか髪を洗わない有名さか(男性)が紹介されていたが、女性の私が同じことをするのは、難しい。
そこで、私はシャンプーをかえることにした。具体的には、「石けんシャンプー」を使い始めたのである。これなら、成分は石けんと水だけ。頭皮にもいいだろうと、考えた。今の私の髪は、まだ薄毛が目立っている。増毛への道は険しく、まだ始まったばかりだ。これからも、自分の髪に責任を持ちつつ、私は髪に良いことなら、生活に取り入れていく。いつか、元の髪に戻ることを信じて。