ただ、安心して買いたいだけなのです。(熊本県・ナムワンさん)

私の住むまちには、大型スーパーが二店舗と、小さなスーパーが数店舗、点在している。普段その範囲内で、食料や日用品を買う。ただ、自然食品のような商品を、取り扱う店が少ないので、無添加の商品が手に入りづらい。

私は買い物をするとき、商品を手に取ると、つい、裏面をくるりと返し、原材料を確認したくなる。なるべく添加物の少ない商品を選びたいのだが、それが難しい。特に食料品は、小さい文字で添加物が、びっしりと書いてある。それを口に入れるのかと思うと、一瞬「怖っ」と怯むが、仕方なく買い物かごに収める。でないと何も買えずに、餓死する。稀なことだが、近所のスーパーでも、無添加の商品を見つける時がある。例えば、ドイツの「ヴィヴァーニ」というオーガニックの板チョコだ。材料に香料や乳化剤、植物油脂等を使用していない。すべて良質な材料ばかりで、私は「すごいやん」と、ドイツ企業の意識の高さに感嘆した。一枚、八十グラムで、六百円も舌が、迷わず購入。無添加チョコレートのお味は、奇を衒わずとも、十分に美味しかった。

添加物を避けたい理由は、私が小学生の時、食品添加物についての講演会があったことを、なんとなく覚えているからだ。学校の体育館の壇上で、竹熊先生と紹介された男性は、全校児童を前にして、缶から鮮やかな緑色のメロンジュースをコップに注いだ。そのコップを高々と上げ、「飲みたい人?」と竹熊先生が聞くと、子供たちは「ハイ、ハイ」と手を上げた。すると先生は、理科の実験みたいなやり方で、同じものを作って見せ、ジュースの色は、合成着色によるものだと、教えてくれた。もう一度、「飲みたい人?」と聞かれたが、子供たちは誰も手を上げなかった。私も、そんな薬品みたいなジュースは、怖くて飲みたくないと、手を上げなかった。

もう一つ、記憶がある。これも私が小学生の時のことだ。何かの社会科見学で、コーラの工場見学に行った。工場を一通り見学した後に、案内をしてくれたお姉さんが、「何か質問がある人?」と聞いたので、私は「ハイ」と手を上げて、「コーラの中に、合成着色料は入っていますか?」と質問した。お姉さんから笑顔は消えなかったが、明らかに困っていた。我ながら嫌な子供だったと、今は反省している。質問に対して、明確な答えが聞かれずに、うまく誤魔化されてしまった。どうして、危ないものを使うのと、理由を知りたかったのだが、きっと後ろめたいことなのだろうと、これ以上は何も聞けなかった。

そんな子供時代を経たせいか、私は添加物に対する不信感が、未だに残っている。お店の棚には大半が、添加物だらけの商品が並んでいる。消費者はその中からしか選べないなんて、何だかおかしくないだろうか。私が無添加にこだわるのは、ただ、安心して買いたいだけなのです。