健康を守る伝統の食事「ご飯・味噌汁・漬物」の魅力とは?

食品衛生法の改正

各所で話題になっていますが、改正食品衛生法が2024年6月から導入されることになり、「おばあちゃんの漬物」や「手作りの梅干し」が店頭から減ってしまうと言われています。梅干し、糠漬け、味噌漬け……どれもおいしくて、圧倒的に体に良いものばかりですが、基本的には「食中毒を減らすために」改正が実施されたようです。

「食中毒を減らす」のは重要なことです。問題なのは、法律に関わる人たちに「日本の伝統食を守ろう」とする意思が感じられないことです。法律制定に携わる人々には、日本の伝統食や地域の特性に対する理解がもっと深まることを期待します。都市部と地方の感覚の違いが反映されるような議論が望ましいと思います。

でも、ネガティブな情報に憤っている時期ではありません。国が変わるのを待っていたら、もう手遅れだからです。私たち一人ひとりが、伝統的な日本食を重んじ、自分の体を大切にしてあげる気持ちがある限り、体に良い漬物はなくなりませんから、希望を持ちましょう。そのために、「日本の食事がいかに素晴らしいか、漬物がいかにおいしくて、体に良いか」をSNSでどんどん拡散してください。だから私は、ブログ、SNS、ポッドキャスト、音楽、YouTubeを一斉に始めたのです。一人一人の活動が、日本と日本人の健康を守ることにつながると信じているからです。

日本食の話をしよう

我が家の食卓、質素に見える? 贅沢に見える?

さて、今回は日本食の話です。「納豆が良い」「ヨーグルトが良い」など、健康に関する情報は何十年間も手を替え品を替え言われていますが、それが事実ならば、もうとっくに病気は減っているはずです。しかし、実際には病気になる人は年々増え続けています。なぜなのでしょうか?

それは、食生活の悪化です。(実際には、ストレス過多、運動不足、睡眠不足、化学繊維の下着、洗剤や柔軟剤の合成香料、水質の悪化、大気汚染など、複合的な理由がありますが、今回は食生活の話をします)

スーパーやコンビニで販売されている食品のうち8割は、長期的な健康を考えると注意が必要なものが多く含まれています。特に加工食品、高脂肪・高糖質の食品、スナック菓子、清涼飲料水、アルコール類には要注意。安い卵、安いお肉は極力避けつつ、バランスを取りながら摂取することが大切です。特に揚げ物などの惣菜は注意が必要です。たまになら良いですが、ほぼ毎日食べていると、病気のリスクが高まります。

酸化した油は非常に体に悪いのですが、スーパーやコンビニの揚げ物には、食品添加物が多く含まれていますから、尚更です。揚げ物を選ぶ際には、できるだけ質の良い油を使用したものを選ぶことが望ましいです。

食品業界(特に大企業)がメディアのスポンサーになっていることが多く、大企業にとって都合の悪いことは、メディアが取り扱いにくい構造があるでしょう。その結果、「大企業が作るものは安心だ」という刷り込みがなされ、食生活が健康を左右するにも関わらず、「食材の良し悪しを確認しない、考えようともしない、安さこそが最優先」と考える人が多くなってしまったのかもしれません。

ご飯、味噌汁、漬物のすすめ

健康の秘訣は、「ご飯、味噌汁、漬物」の三つが食卓に並ぶことと考えます。これは江戸時代の食卓です。それぞれの特徴を書いてみましょう。

ご飯

玄米を精米し、「炎舞炊き」で炊いたご飯は、おいしい

ご飯=米ですから、日本人の食卓からご飯が消えたらおしまいです。たまにはパンや小麦粉も良いですが、毎日は不要。「朝はパン」? そんなわけありません。欧米人とは体の作りが違います。日本人にはご飯が必要なのです。

ご飯は、元気の源です。糖質制限? そんなことはしなくてよろしい。私はさまざまな健康方法を試してきましたが、糖質制限をすると、気力がなくなります。

私の体験でいうと、控えるべきなのは、小麦粉製品です。つまり、パン、ラーメン、うどん、パスタ、洋菓子などです。さらに牛乳、チーズも。これらを減らしたら、まず胃腸が軽くなりました。そして、頭がぼーっとすることがなくなり、ストレスも減った気がします。朝食に「チーズトーストと牛乳」を食べていた時期は、あからさまに調子が悪かったです。ずっとお腹に違和感がありました。きっと腸内細菌が嫌がっていたのでしょう。

玄米は体に良いのですが、消化が悪いです。よく噛まないと、すぐにお腹が重くなってしまうので、無理に毎日食べる必要はないでしょう。慣れないうちは、7分づき(玄米を70%精米すること)から始めて、5分づき(50%精米)、3分づき(30%精米)と、少しずつ玄米に近づけていくことをオススメします。白米よりも玄米のほうが劣化しづらく、栄養豊富なので、米は玄米で購入・保管すると良いですね。

玄米食には、家庭用の精米器が便利

家庭用精米器は、本当に便利です。長く使うものですから、1万円以上のものを選ぶと良いでしょう。玄米を自由に精米できますから、「今日は5分づきにしよう」とか、「明日はキャンプに行くから、玄米を無洗米にしよう(私はキャンプが好きなので実際にやっています)」とか、「カレーライスはご飯をあまり噛まないから、7分づきにしよう」とか、「子供が遊びに来るから、白米にしよう」とか、状況に合わせて精米の加減を変えられるのは便利だし、何より楽しいです。

精米すると、「米ぬか」がどんどん溜まるのですが、これがまた便利。「ぬか漬け」の糠床にしたり、畑の肥料にしたり、他にもさまざまな活用方法があるようです。

山本電気の家庭用精米器「匠味米」
(Amazon)

ちなみに、私は山本電気さんの精米器を愛用しています。数年前、一人暮らしを始めるにあたり購入しましたが、今は実家で大活躍。両親も気に入っています。キャンプ用の無洗米が簡単に作れるのが、とにかく便利です。

味噌汁

味噌汁は最高のスープ

味噌汁の味噌は、大豆から作られます。大豆は主要なタンパク源。味噌は発酵食品ですから、健康に関心のない人でも、「味噌は体に良さそう」というイメージはあるでしょう。

「食事の際、味噌汁を先に飲むことがマナー」とされていますが、なぜでしょうか?

私は、味噌汁を先に飲む理由は、「腸内細菌への挨拶」と考えています。お腹が空いている状態で、いきなり固形物が胃に放り込まれると、腸内細菌はビックリしてしまいます。でも、最初に温かい味噌汁を胃に送ることで、「これから食事が始まるんだな」と腸内細菌が気づき、消化の準備が整うというわけです。

本来であれば、
「腸内細菌さ〜ん! すみませんが、これから食事を始めますからね〜! だから、消化の準備を頼みますね〜!」
と大声で叫び伝えたいところですが、それは難しいので、胃に負担の少ない味噌汁を飲むことで、腸内細菌にメッセージを伝えているというわけですね。

ちなみに、味噌に含まれている麹菌、酵母菌、乳酸菌などの微生物は、加熱(菌にもよるが50〜70度くらい)によって死滅してしまうようです。もしかすると、味噌汁の本来の作り方は、「味噌を入れずに汁を作り、お椀に汁を持ってから、味噌を混ぜる」のが正解だったりするのかも?

現代の常識は、江戸時代の日本人にとっては非常識である可能性は十分にあります。

おいしい味噌を探そう!

日本の食生活はすっかり荒れてしまいましたが、実は良質な味噌は手に入れやすいのが救いです。スーパーでも、ひとつくらいは無添加の味噌が売られています。道の駅や農産物直売所に行くと、手作りの味噌が売られています。私はキャンプ旅をするときに、その土地土地の味噌や醤油、調味料や漬物を買うことが多いですね。

最近は、地元である岐阜県可児市の手作り味噌がとてもおいしくて、リピートしています。おいしい味噌は、そのまま食べてもおいしく、喉が渇かないものです。

漬物

我が家のぬか漬けも、おいしい

漬物か煮物は、日本人の食卓に欠かせませんでした。日本ほど漬物のバリエーションが豊富な国はないと言われているようで、日本の大切な食文化の一つですね。

「漬物」の種類は、塩漬け、醤油漬け、酢漬け、ぬか漬け、味噌漬け、麹漬け、粕漬け、浅漬け、梅干し、沢庵(たくあん)あたりが一般的でしょうか。長野県の野沢菜漬け、秋田県のいぶりがっこ、熊本県の高菜漬けなど、地域独自の漬物も多いです。

漬物に使われる調味料は、塩、味噌、醤油、酢、砂糖、日本酒、みりんが一般的……というか、これさえあれば日本食はほぼなんでも作れますね。また、米麹、米ぬか、酒粕など、「いかにも体に良さそうな食品」が漬物に使われています。

そして、漬け込む過程で、麹菌、乳酸菌、酵母菌などの微生物が増えて、野菜や魚に入り込み、独特の風味や酸味を生み出すわけですね。それぞれの菌が体に良いのは言わずもがな。漬物は、おいしい上に、体にも良いのです。

漬物の話をすると「減塩警察さん」が顔を出すことがあります。「漬物の食べ過ぎは、塩分の摂りすぎ! 体に悪い!」と言い張るのです。しかし、考えてみてください。漬物を食べ過ぎることは、ありますか? 小皿に少量の漬物で、十分に満たされませんか? ご飯をパクパク食べる人はいますが、味噌汁をガブガブ飲む人、漬物を山ほど食べる人は少ないでしょう。日本の食事は、食べ過ぎないようにできているのです。

「減塩食品」に気をつけよう

「減塩」と書かれた食品が多くなりました。私は40代なので、まだ減塩に気をつけてはいません。私が老人になったら、減塩食品を買うことになるのでしょうか? 考えた結果、「老人になっても減塩食品を買うことはないだろう」という結論が出ました。

なぜなら、日本食を心がけていれば、塩分の摂りすぎにはならないからです。「まだ減塩に気をつけてはいません」と書きましたが、昔ながらの食事をしていたら、「減塩のことなど気にする必要がない」ということです。「減塩」という言葉があるから、「歳を取ったら、減塩しなきゃ」と思い込むわけです。言葉のマジック。気をつけましょう。

そうそう、減塩食品に気をつけなければいけない理由は、「添加物の多さ」です。塩分を減らすと味が薄くなってしまいますから、添加物によって味を誤魔化す必要があります。人工甘味料(スクラロース、アセスルファムKなど)が入っていたら、とくに注意が必要です。

おわりに

長くなりましたが、いかがでしたか?
今回は「ご飯・味噌汁・漬物」を紹介しましたが、この3つを毎日必ず食べる必要はありません。
ラーメンも、パスタも、パンも、食べたって良いんですよ。ときどきだったらね。

ご飯に飽きたら……
「そば」は良いでしょう。私は冷凍蕎麦をけっこう食べます。
「じゃがいも」は主食になるので、ご飯に飽きたら芋食も良いでしょう。
たまには「うどん、パスタ、ラーメン、パン、お好み焼き」でも良いでしょう。

味噌汁に飽きたら……
「お吸い物」「すまし汁」は良いでしょう。
「鍋料理」は体が温まるし、消化も良いので、夏でも食べると良いでしょう。
たまには「シチュー」や「洋風スープ」でも良いでしょう。

漬物に飽きたら……
「煮物」「佃煮」「しらす」などは良いでしょう。

このように、自分なりにルールを決めて食べると、ストレスがなくて良いですよ。

今回は「ご飯・味噌汁・漬物」に絞って記事を書いていますが、我が家では、これらに加えて、卵、豆腐、煮物が並ぶことが多いですね。ときどき炒め物や揚げ物もいただきます。魚とお肉もいただきます。お肉はいつかやめなければいけない時期がやって来ると思っていますが、当面は控えめにしながらいただきます。お刺身のほうが好きなので、アルビスなどで新鮮な魚を買って、手巻き寿司にして食べたりします。

日本人は魚食ですから、肉は毎日は食べないようにしています。市販のウインナーは危険すぎるので、食べるなら月に1回くらいにしてくださいね。食べるならサイトウハム(愛知県犬山市)のウインナーがおすすめです。判断基準に迷ったときは、日本人の体質に合った食生活を意識すると良いでしょう。

「肉を食べないと元気が出ないから、食べたほうがいい」という意見もありますが、私は懐疑的です(日本人でも肉食が向いている体質の人もいます)。日本人の肉食が常習化したのは、戦後の高度経済成長期から。その理屈だと、戦前までの日本人は皆、元気がなかったということになります。日本人に元気がなかったら、とっくにこの国は滅んでいたことでしょう。

毎日ジャンクフードやコンビニ弁当、パンやパスタ、洋食ばかり食べている人には、今回の記事を読んで「そんな食生活できるか!」と思われたかもしれません。でも、やっぱり日本人にはご飯、味噌汁、漬物、煮物、魚なんです。私たちの体は、そういうふうにできているのです。お読みいただきありがとうございました。