エッセンシャルオイルは飲めるのか?

今回は、アロマテラピーの本場イギリスのアロマ系ブロガーさんの記事「THE TRUTH ABOUT DRINKING ESSENTIAL OILS IN WATE(エッセンシャルオイルを水に溶かして飲むことの真実)」を引用・翻訳しながら、「エッセンシャルオイルは飲めるのか問題」に触れてみます。

エッセンシャルオイルを水に溶かして飲むことの真実
THE TRUTH ABOUT DRINKING ESSENTIAL OILS IN WATER

アロマテラピーに関する安全でないアドバイスの1つに、エッセンシャルオイルを水に溶かして飲むと、いわゆる「魔法の癒し効果」がある、というものがあります。この方法は、頭痛からアレルギーまで、あらゆる病気を和らげる効果があるとされています。エッセンシャルオイルを水に溶かして飲むと、頭痛からアレルギーまで、あらゆる症状が改善されると言われており、ソーシャルメディア上では、エッセンシャルオイルを水に溶かして飲むことを推奨するネタが数多く投稿されています!

このようなアドバイスをしているのは誰なのでしょうか?
エッセンシャルオイルの「アドバイス」の大半は、できるだけ多くの手数料を稼ぐことに基づいていることに、皮肉屋でなくても気がつくでしょう。しかし、私たちの健康に関しては、虚構ではなく事実に基づいた判断が必要なのです。エッセンシャルオイルを水に溶かして飲むと、ボトルを早く使い切ることができ、より多くの注文が入り、より多くのお金を稼ぐことができます。このようなアドバイスをする人たちの目には、ドルが映っていることを忘れないでください!

実は、エッセンシャルオイルの摂取は非常に危険な行為であり、認定アロマセラピストの指導の下でない限り、避けるのが一番です。確かに、例外的にエッセンシャルオイルを摂取することで、腸内細菌叢に良い影響を与えることはあります。しかし、これは軽々しく考えるべきことではありません。認定アロマセラピストは、個人の病歴、禁忌、年齢、ライフスタイル、個々の状況を考慮した上で、この方法を勧めることになります。その場合でも、摂取は慎重に管理され、短期間に限定されるでしょう。

精油は飲みものではありません

分かりやすい記事ですね。「アロマオイルを飲んでますー」と人から初めて聞いた時は、なんて非常識なのだと思いました。この認識を持っている人は、日本ではドテラ社のオイルを使っていることが多いようです。カレーを飲みものという人はいますが、精油は飲みものではありません。

私もこの記事には賛成で、そもそも精油は飲む必要がないと考えます。飲むとしたら、緊急時のみでしょうか。例えば食中毒になった時とか、鬱がひどい時に、医師やアロマセラピストが適切なオイルを処方するのは良いと思うのです(日本では処方できないでしょうけど)。今も日本のどこかで、知識の少ない素人が「この精油は飲めるんだよー」と他人に勧めていると思うと、ゾッとします。健康の大人ならまだしも、エッセンシャルオイルを体の弱い人や子供に飲ませるのは、あり得ないことです。

ドテラ社の精油を使っている人に聞くと、飲むだけでなく精油を毎日肌に塗っているそうです(人によると思いますが)。これに関しても、緊急時以外には塗る必要がないと考えます。怪我をした時とか、ひどい虫刺されの時とか、緊急を要する場合のみ、塗るのは良いと思います。日常的に、美容のために塗るなら、キャリアオイルなどで薄めて使いましょう。アトピー対策のために塗るなら、ボディクリームなどで薄めて塗りましょう。

精油は植物成分が凝縮されたものなので、飲んだり肌に塗るには、あまりにも濃すぎるということを、どうか覚えておいてください。昔、試しに精油を舌に垂らしたことがありますが、種類にもよりますが、ピリピリして苦くて刺激が強くて、とても飲めたものではありませんでした。

どれだけ体に良いものでも、必要以上に摂取・塗布すれば毒になります。海水ミネラルでお馴染みニガリは、薄めてごく少量飲むと体に良いですが、飲みすぎると毒です。これと同じことです。

「でも、私は純粋なセラピーグレードオイルを使っているんです
“BUT I’M USING PURE THERAPEUTIC GRADE OILS!”

よくある誤解は、一部のブランドが自社のエッセンシャルオイルを「セラピーグレード」として販売することを選択したことに起因しています。実際のところ、エッセンシャルオイルの品質に関して、業界標準は存在しません。明らかに、ある種のエッセンシャルオイルは他のものより高品質です。しかし、「認定セラピーグレード」や「ピュアセラピーグレード」といった言葉は、単なるマーケティング用語であり、エッセンシャルオイル大学のロバート・パパス博士が雄弁に語っています。

セラピューティックグレードとしてオイルを認証する独立した機関があるかのような誤解があるようですが、少なくとも広く認知されているような機関はありません。これは、セラピーグレードというものが存在しないということでしょうか? いいえ。
しかし、今あるセラピー・グレードの基準は、企業内部で作られた基準であることを理解してください。この基準は、私や他のアナリスト、アロマセラピストにとっては、全体的に素晴らしい基準であり、完全に受け入れられるかもしれませんが、独立した基準ではないことに注意する必要があります」

ロバート・パパス博士、エッセンシャルオイル大学

消費者は、高価格=高品質という思い込みで、MLMブランド(ネットワークビジネス)のいくつかに引き寄せられる。しかし、実際には、その高価格は、販売するたびに発生する何重もの販売手数料のために支払われているのです。

例えば、MLMのエッセンシャルオイルブレンドは、5mlで73.81ポンドです(ティースプーン1杯分)! (アメリカでは0.17 fl ozで85.20ドル)*。これは、1mlあたり14.76ポンドであり、グラム単位で見ると、あの高級保湿剤「クレーム ドゥ・ラ・メール」の5倍以上の値段になります。

MLMブランドのローズエッセンシャルオイルの5mlボトルは、203ポンド以上します。これは1mlあたり40.65ポンドに相当します(アメリカでは0.17 fl ozで244ドル)。グラム単位で見ると、これは金よりも高価です!*。

もちろん、純粋なエッセンシャルオイルは決して安くはありません。しかし、MLMのエッセンシャルオイルは最高品質なのでしょうか、それとも最高価格なのでしょうか…?

MLM、ネットワークビジネスの基本を知ろう

「MLM(マルチレベルマーケティング)」という単語が出てきましたが、要するにネットワークビジネスのこと。マルチ商法とも呼ばれますね。ネットワークビジネスでは、商品を高く売るのが常識です。それによって、創業者や組織の上位の人が儲かるシステムだからです。だから、「品質が良いから、値段が高い」のではなく、「上層部の人たちにお金を配当するから、値段が高い」のです。

例えば、一般的なミネラルウォーターが1本100円だとします。ネットワークビジネスで売られているミネラルウォーターが1本1,000円だとします。一般の人は高すぎて買わないでしょう。しかし、「私たちのネットワークビジネスの会員になったら、通常価格1本1,000円のところ、30%OFFの700円で買えますよ」と言われたら、どうでしょう? お得だと思ってしまいませんか?

実際にはインセンティブが商品価格に上乗せされているわけですから、1,000円のものが会員価格で700円で買えたとしても、もともと300円くらいが適正価格だったりするのです。「会員になると安く買えるんだ? ラッキー!」と喜べる人は、よほど素直な人なのでしょうね。

ドテラ社のことを言っているのではなく、ネットワークビジネスは元々そういう構造であるという話です。

「でも、エッセンシャルオイルは自然なものだから!」
“BUT ESSENTIAL OILS ARE NATURAL…!”

“天然 “であるものが、必ずしも無害であるとは限りません。森には毒のあるベリーやキノコがたくさんあり、口に入れようとは思わないでしょう。エッセンシャルオイルは、他の化学物質と同じように尊重する必要がある、複雑な成分のブレンドで構成されています。薬物と同様に、エッセンシャルオイルを長期間にわたって内服すると、内臓に大きなダメージを与える可能性があります。

「でも、たった1滴だから!
“BUT IT’S ONLY ONE DROP…!”

エッセンシャルオイルは非常に濃縮されています。ペパーミントオイル1滴は、ペパーミントティー約27杯分に相当するのです!

「でも、水で薄めているから!」
“BUT IT’S DILUTED IN WATER…!”

油と水は混ざらないということは、化学の基本中の基本です。エッセンシャルオイルが水の入ったグラスの中で分散しないことは、天才でなくとも分かることです。エッセンシャルオイルは、液体の上に別の層として存在するのです。あなたが水を飲むとき、あなたは水に薄められたオイルではなく、純粋なエッセンシャルオイルを飲み込んでいるのです。この純粋なエッセンシャルオイルの層が口や喉に触れることで、刺激、水疱、火傷、嘔吐、動悸を引き起こす可能性があります。また、原液のエッセンシャルオイルを定期的に摂取すると、長期的には感作やアレルギー反応を引き起こす可能性があります。

“でも、エッセンシャルオイルは安全だと思ってた……?”
“BUT I THOUGHT ESSENTIAL OILS WERE SAFE…?”

このような警告があっても、エッセンシャルオイルの使用を完全に断念する必要はないでしょう。正しく使えば、心身の健康を増進させる素晴らしい方法となるのです。ただ、アロマセラピストの資格を持つ人が推奨する安全上のアドバイスを守り、エッセンシャルオイルに関してネットで読んだことを鵜呑みにしないようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?

自身の判断で、エッセンシャルオイルを飲んでいるのなら、結構なことです。個人の意思は尊重しますし、否定はしません。

私が重大な問題だと感じるのは、「医学や薬学の知識がないにも関わらず、エッセンシャルオイルを他人に飲ませたり、エッセンシャルオイル(精油)を原液のまま肌に塗ることを推奨している人が一定数いるという現実」です。

精油を安易に飲むこと・肌に塗ることを推奨する行為を「危険だと思っていない」ところが、本当に危険だと感じています。

「天然だから安全」というのは幻想です。私は食品選びにかなり気を使っていますが、「天然だからこそ、注意して摂取する必要がある」と思っています。毎年、春になると山菜を食べますが、ついつい食べ過ぎると、気持ち悪くなります。山菜には薬のような成分が含まれていて、少量であれば体に良いですが、食べ過ぎると体に悪いのです。

最後まで読んでくださった人は、どうか「薬は飲みすぎると毒になる」というだけでも覚えておいてください。

この記事はドテラ社を否定するものではありません。

引用元

THE TRUTH ABOUT DRINKING ESSENTIAL OILS IN WATE
The truth about drinking essential oils in water – The English Aromatherapist