無添加になるという事は(東京都・BANANAさん)

「なんか結局、今が人生で一番健康だな」

気づけば私は、もう40代後半。ですが、最近よくこう思うのです。

私の20代は、それはもう無茶苦茶な物でした。表現の仕事をしていたので、おつきあいで外食ばかり、コーヒー&タバコ依存、ストレスで頭痛も多く、仕事中に缶コーヒーで頭痛薬を流し込むという暴挙にでることもしばしばでした(絶対マネしないでくださいね)。

やはり無理は続かず、30歳で婦人科の病気になり入院し、それを機に仕事をやめました。病気は幸いにも良性で、愚かにも私は「ギリギリセーフ!」くらいに軽く思っていました。今思えば、自分らしくない仕事に無理やり自分を合わせていたのだと思います。

その後、環境を変えてまた表現の仕事をしていましたが、楽しくやっていたものの食事はほぼレトルト、外に出ればパン、唯一の栄養はバイト先の飲食店でいただけるまかないという生活でした。少し自分らしくなったつもりでいたけど、前の仕事をやめた手前「早く結果を出さなきゃ、早く成功しなきゃ」と自分を追い詰めていました。自律神経や血糖値が乱れる症状が出ていましたが、結果を出す方が優先だと思っていたのです。40歳で結婚しても生活は変わりませんでした。

そんなある朝、目覚めて立ちあがろうとするとグラッと頭が揺らいで倒れこみました。何度も立とうとしましたができませんでした。夫は地方の仕事でおらず、床に倒れたまま職場に電話をし仕事を休み、とうとう病院に行きました。そして血液検査をしてみると、ある成分が異常な数値であると言われました。

「大きい病院を紹介しますので、必ず行ってください。必ず」と、強く行ってくれる先生を、なんだか自分の外から見ているような気持ちでぼうっと眺め、お礼を言って外に出ました。その成分を携帯で調べると、命に関わる血液の病気の名前がたくさん出てきました。

「ここで、人生終わりなのかな。私、まだ何もやってないのに」

そう思いました。

そして大学病院へ行って、たくさんの検査をしてみると、これが意外にもあっさり経過観察となりました。

「このくらいの数値ならまだ大丈夫だから、定期検診だけはしていきましょうね」

帰り道、私はぼんやり歩きながら「またギリギリセーフだった」と呟きました。そして、とうとう思ったのです。

「ギリギリセーフの内に、生き直さなきゃいけない」

自分を追い詰めるように頑張って結局何も手に入らなかった。これからは、自分をもっと大切にしていかなくちゃ。

そんな時、ある人に出会いました。その方は私よりも大変な病気を抱えながら、食事を整え深い呼吸をすることでお医者様も驚くほど病気を克服しているというのです。そこで私も早速その方のまねをして、「無添加食生活」を始めました。

まず買い物に行き、1つ1つ成分表示を見ました。加工品はほとんど買えず、そして無添加とうたっている商品はお値段が倍ぐらいしました。「これは続かない……」と早速挫折。すると夫が「できることから少しずつしようよ」と言ってくれました。そして根気よく何軒も店を回っている内に、プチプラな無添加食品や、激安の問屋を利用するなど、抜け道が見つかり始めました。

麺つゆやドレッシングの作り方などもネットでゲット。どうしもてやめれなかった朝の缶コーヒーは、夫が家で作ったカフェラテをマグボトルに詰めてくれ、「嬉しい! おいしい! 安い!」でクリアしました。

その頃には自然と化学繊維より綿を選んだり、シャンプーも石油系不使用のオーガニックなものが嬉しくなっていました。そして無添加なものは味が明確だと気づきました。

「自然のものはおいしいんだ。自然のものは体が嬉しいんだ」

そしておうち時間が増えて、3食、家で食べるようになると更に体の調子が良くなってきました。今は自律神経も安定しています。例の血液の数値はまだ変わらずなのですが、自分の体が今、健康に向かっているなというのを感じています。

最近ふと、母が「あなたは赤ちゃんの頃、紙おむつがだめでね。布だったから大変だったのよ」とぼやいていたのを思い出しました。私はもともと化学物質がダメだったんだな、遠回りして今やっと自分らしくなってきたんだ。

そうして今年、とうとう新しく挑戦したい仕事も見つけ、「人生の中で今が一番自分らしい、いい状態だよな」と思えるのです。無添加になるということは、もともとの自分らしくなるという事でした。派手な結果は出せないかもしれないけれど、無理せず自分らしく楽しい生活をしていけたら幸せだなあと、今は思えています。

寸評

ギリギリセーフのうちに気づき、無添加食生活を始めることができて良かったですね。缶コーヒーはとくに体に良くありませんので、旦那さんの自家製カフェラテに、BANANAさんへのいたわりと無添加への理解が詰まっていて、心温まります。素敵なエッセイをありがとうございました。

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