健康志向の無添加(岩手県・山里鳩子さん)

四十年近く前、小学校時代の家庭科の先生が、添加物入りの食品は癌の原因になると言っていた事がある。ことに合成着色料、合成保存料はよくないそうだ。癌は手遅れになると死に至る病と言われていたので恐れていた。

  自分や自分の家族は癌になってほしくないと思い、近所のスーパーに母親と買い物に出かける際、商品の原材料の表示をチェックするようになる。大半の商品に前述の添加物が入っている。無添加のものは皆無に等しい。

  母親にその事を話しても一向に無頓着であった。ハムやソーセージ等肉加工品が好物だが、それらの色合いの綺麗さが着色料によるものだと言われると、買ってきて食すのをためらうようになる。そのまま使えて楽だが。

  製造者としてはコストを下げたり、食品の腐敗を避けたりする目的があるのだろう。添加物を気にするのはほんの一時的であったが、再びそれが懸念事項となる時がやってくる。十年程前、老父の体調が心配になっていた。

  その三年前、まだ六十代前半の母親を癌で亡くし、せめて父には長生きをして欲しかった。摂取する食品の全てを添加物のないものにしたいが、経済的に負担になりすぎるので、いつも使う調味料だけにする事にした。

  市内にある健康食品店の常連になる。そうした取り組みが効を奏したか否かはわからないが、父は母親の他界の三年後、七十五歳で旅立つ。癌ではなかったが、寿命だったのだろう。一人残されても無添加に拘り続ける。

  最近はスーパーにも、無添加と表記された味噌等の商品が置かれるようになった。更に合成保存料、着色料なしだとついその商品を買い物かごに入れる。値段も手頃なのだが、健康食品店のものとどう違うのだろうか。

  そんな疑問が頭をもたげてくる。所謂無添加食品のからくり等を暴露する記事が健康関連のメールとして入ってくる事があるが、目を通す勇気はない。本当の意味での無添加の食品が高くなく購入できる日はくるだろうか。

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