替えの利かないものだからこそ(兵庫県・池田さん)

私は学生時代、思春期による肌荒れに悩まされていた。四六時中肌荒れのことを考え、手鏡を覗いてはため息をつく日々。正直「肌荒れさえなければ芸能人かモデルになれるのに…」とさえ思っていていた。私の黒歴史の一つである。

 思春期特有の恥ずかしさから両親に相談出来ず、病院にも行けなかった。藁にも縋る思いで駆け込んだのは薬局。目的は肌荒れに効くとされる化粧品達だ。当時、化粧品はおろか添加物の知識もないので良さそうな商品を片っ端から購入し、使用した。私の家ではおこずかいの習慣がなかったので欲しいものを我慢し、お年玉のほとんどを化粧品に費やした。

 肌を治したい一心で一日に二回も三回も顔を洗い、化粧水をたっぷりつけた。泡洗顔が良いと聞けば、泡立てネットを購入し、ネットで噂の化粧品セットを取り寄せたりもした。お金と時間をかけたにも関わらず、肌荒れは悪化し、顔が真っ赤になるほど酷い炎症を引き起こした。これらの行動はただ単に肌をいじめただけで何の意味もなかったのである。その後、皮膚科を受診したが完全に手遅れだった。

 まともに顔が洗えない、水も駄目、ちょっとした刺激で皮膚が荒れる、加えて化粧品アレルギーを発症。誰に頼るわけにもいかず、ただ自然治癒を祈るだけの日々。終わりのないトンネルはないというが、この時の辛さは未だに言葉に出来ない。

 私の場合、過剰使用が一番の原因であるが思春期特有の肌荒れは時間と共に落ち着くこと、ダメージの少ない無添加の化粧品を使用していればどうなっていただろう?と考える。少なくとも肌が真っ赤に炎症するほど酷くならなかっただろうし、アレルギーも発症しなかっただろう。

 これらの反省から今はなるべく肌に優しい商品を選ぶようにしている。財布との相談があるので何でもかんでも無添加とはいかないが。他にも自然治癒力にも重点を置き、肌にトラブルが起きても素人知識で治そうとしないこと、執着し過ぎず、何とかなるだろうと楽天的にストレスをためないよう心掛けている。服と違い肌は取り換えがきかない。私と同じ体験をしないためにも、どうか優しく大切にしてあげて欲しいと思う。

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